コーヒーを焙煎する前、生豆の状態で行う水洗い。
この記事では水洗いの目的や方法、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
コーヒー豆の水洗いとは
水洗いの目的
コーヒー豆の水洗いは、豆表面の汚れや不純物を取り除くために行われます。
コーヒー豆は収穫直後、果肉やパルプ、粘液など、様々なものが付着した状態です。これらの残留物は、そのまま乾燥させると発酵やカビの原因となり、コーヒーの味を損なってしまう可能性があります。
水洗いはこれらの不要な物質を洗い流すことで、コーヒー豆本来の風味を引き出し、品質を向上させる効果が期待できます。
水洗い方法
水洗いの際、温度や洗い方が味に大きな影響を与えるため、正しい手順を守ることが重要です。
一般的にはまず豆を水に浸し、優しくかき混ぜて汚れを落とします。その後、お米を研ぐときのような方法で水を交換しながら数回洗い、最後に十分に水気を切って乾燥させます。
水温は、豆の種類や焙煎度合いによって調整する必要があります。一般的には、常温からぬるま湯が適していますが、高温の水は豆の風味を損なう可能性があるため注意が必要です。
また、洗いすぎると豆の成分が流出してしまい、風味を損なう可能性もあります。
水洗いがもたらす風味の変化
水洗いによって豆表面の汚れや不純物を除去することで、よりクリアで、本来の風味を引き出す効果があります。コーヒーの苦味や酸味、甘味などのバランスが整い、より複雑で奥行きのある味わいが楽しめるようになります。
また水洗いは、豆の品質を向上させる効果も期待できます。豆の表面に付着した不純物は、発酵やカビの原因となるため、水洗いはこれらを取り除くことで、より安定した品質のコーヒー豆を提供することができます。
水洗いするメリットとデメリット
メリット
水洗いの主なメリットは、前述した目的や風味の変化にある通り、豆の味がよりクリアになること、異物が取り除かれる効果があることなどです。
豆表面の汚れや不純物を洗い流すことで、より本来の風味を引き出せたり、発酵やカビのリスクを軽減できます。
また水洗いによって、豆のサイズや形状を揃えることもできます。豆を水に浸すことで、密度が低い豆や破損した豆を浮き上がらせることができ、これらの豆を取り除くことで、より均一な品質のコーヒー豆を提供することができるのです。
デメリット
一方で、水洗いによる風味の損失や手間がかかる点も無視できません。
水洗いは、豆の表面に付着した果肉やパルプなどの成分を洗い流すため、これらの成分がもたらす風味も同時に失われてしまう可能性があります。
また、豆を水に浸すことで水分を吸収するため、乾燥時間が長くなります。その乾燥方法によっては、豆の風味に影響を与える可能性も無視できません。
特定の種類のコーヒー豆や焙煎方法によっては、水洗いが効果を発揮しない場合もあります。例えば、乾燥した環境で栽培された豆や、果肉が薄い豆などは水洗いに適さない豆になります。
また、浅煎りにする予定の豆は、水洗いをすると酸味が強くなりすぎる場合があります。
そのため、水洗いはすべてのコーヒー豆に適しているわけではなく、豆の種類や焙煎度合い、自分の好みに合わせて、やるべきかどうかを判断するのがよいでしょう。
他の豆処理方法
ハニープロセス
ハニープロセスは、水を使わずに行われる処理方法です。
ハニープロセスでは、コーヒーチェリーから果肉を取り除いた後、果肉の一部をつけたまま乾燥させます。この果肉は乾燥する過程で糖分が豆に染み込むので、独特の甘みと複雑な風味を生み出します。
水洗いとの違いは、水洗いは豆表面の汚れや不純物を洗い流すのに対し、ハニープロセスは果肉をつけたまま乾燥させることで、糖分を豆に染み込ませる点です。そのため、ハニープロセスは、水洗いよりも甘みのあるコーヒー豆になります。
しかし、ハニープロセスは水洗いよりも発酵のリスクが高く、熟練した技術が必要です。
ウェットプロセス
水洗いは、このウェットプロセスの一種です。しっかり洗浄する方法が水洗いですが、コーヒーチェリーを水に浸すことのみで、果肉を取り除く方法もあります。
浸す方法は水洗いに比べて豆の風味を損なう可能性が低く、より自然な風味を楽しむことができます。しかしその分、水洗いほどしっかり不純物などを取り除くことができないのがデメリットです。
ナチュラルプロセス
ナチュラルプロセスは、果肉をつけたまま乾燥させる方法です。
ナチュラルプロセスは、水洗いやウェットプロセスとは異なり、水を使用しません。そのため、豆の表面に付着した果肉やパルプなどの成分がそのまま乾燥され、それがそのまま独特の風味となります。
まとめ
水洗いは生豆の状態でやるプロセスなので、一般家庭で行うことは少ないかもしれません。
焙煎から自宅で行っているという方は、水洗いについても知識をつけておいて損はないはずでず。